はじめに
LEGO MINDSTORMS EV3にev3dev-stretch R3をインストールします。
以前ev3dev-Jessieのインストールについて紹介しましたが、今回はその記事をアップデートするものです。
用意するもの
用意するものは次のものです。
- LEGO MINDSTORMS EV3
- MicroSDカード (2GB以上のもの)
- Wi-Fi USBアダプター
なお、常時電源をONにして使用するにはAC/DCアダプターによる電源供給が必要なので、並行輸入版のEV3(31313)ではなく、日本国内では教育版EV3が必要になるでしょう。(並行輸入版は乾電池式のため。AC/DCアダプターを使用するにはEV3専用の充電式バッテリーが必要になります。)
また、Bluetooth経由でPCのインターネット接続の共有機能を使ってネットワークに接続することも可能です。その場合はWi-Fi USBアダプターは不要です。
ev3devのインストール
ev3devはLEGO MINDSTORMS EV3上で動作するDebian Linux ベースのOSです。MicroSDカード上で動作するため、EV3の既存のファームウェアを書き換えることなく利用することが可能です。ev3devではEV3を制御可能な様々なプログラミング言語環境(Python, Java, Go, C++, C 等)が用意されています。
ダウンロード
このサイトから最新のev3devのイメージファイルをダウンロードしましょう。なお、2020年3月末時点では正式バージョンのev3dev-stretchに加え、最終テストバージョンのev3dev-stretch R3もダウンロード可能でしたので、今回は新しいR3の方を使用してみます。
MicroSDカードへの書き込み
ダウンロードしたイメージファイルをMicroSDカードに書き込みます。書き込み用のソフトとしては、balenaEtcherがおすすめです。ここからダウンロード後、インストールして使用します。インストールできたらbalenaEtcherを起動します。
1. イメージファイルの指定
左側にある”Select image”を選択して、先ほど解凍したev3devのisoイメージファイルを指定します。イメージファイルのファイル形式は、.zipや.xzなど様々な形式に対応しているので、事前の解凍などはしなくても大丈夫です。
2. MicroSDカードの指定
次に真ん中にある”Select target”を選択して書き込み先のMicroSDカードを指定しますが、PCのSDカードスロットにMicroSDカードを差し込むだけで自動的に認識されます。
3. 書き込み
以上の設定が終わったら右側の”Flash!”ボタンで書き込みを開始します。完了まで数分かかります。
書き込みが完了したらPCはそのボリュームをマウントしようとしてエラーが出ますが、それは無視してMicroSDカードを取り出します。
ev3devによる起動
LEGO MINDSTORMS EV3のMicroSDカードスロットに、ev3devを書き込んだMicroSDカードを差し込みます。また、となりにあるUSBポートにWiFi USBアダプターも挿しておきます。
EV3の電源を入れます。
Wi-Fiの設定
ev3devでEV3起動すると、このようなメニュー画面になります。EV3の上下ボタンを操作し、メニューから”Wireless and Networks”を選択します。
まだ何も設定していないのでネットワークには接続されていません。次にWi-Fiを選択します。
最初はWi-Fiの電源がオフになっているので、”Powered”を選択してWi-Fiを有効にします。するとWi-Fiのアクセスポイントが自動的にスキャンされて表示されます。もし何も表示されない場合は”Start Scan”を選択してスキャンを行ってください。
スキャンされたアクセスポイントから接続先を選択します。
“Connect”を選択して接続します。
アクセスポイント接続用のパスフレーズを聞かれるので入力します。
EV3のボタンが押しにくくて結構大変ですが、頑張ってこのソフトウェアキーボードを使って入力します。
パスフレーズの入力が完了したら、確認して”Accept”を選択します。
Wi-Fiに正しく接続されると、ステータスが”Online”になり、画面の左上にEV3のIPアドレスが表示されます。
SSHによるEV3への接続
EV3がネットワークにつながったので、sshを使ってPCからEV3にリモート接続します。PCのsshクライアントを起動します。Windows10の場合はコマンドプロンプトを使います。(Macではターミナルを使います。)
コマンドプロンプトはスタートボタン横の検索窓に”cmd”と打てばすぐに起動できます。
ev3devのデフォルトユーザーは”robot”でパスワードは”maker”です。
コマンドプロンプトで次のコマンドを実行してください。初めて接続する場合は本当に接続してよいのか確認されますので”yes”と入力してください。その後パスワードを聞かれますので”maker”と入力すればログイン完了です。
ssh robot@<EV3のIPアドレス>
ログインすると次のようなメッセージが表示されます。
Linux ev3dev 4.14.117-ev3dev-2.3.5-ev3 #1 PREEMPT Sat Mar 7 12:54:39 CST 2020 armv5tejl _____ _ _____ _|___ / __| | _____ __ / _ \ \ / / |_ \ / _` |/ _ \ \ / / | __/\ V / ___) | (_| | __/\ V / \___| \_/ |____/ \__,_|\___| \_/ Debian stretch on LEGO MINDSTORMS EV3! Last login: Sun Mar 29 10:14:37 2020 from 192.168.1.32 robot@ev3dev:~$
まとめ
以上で作業は終了です。
必要に応じてユーザーパスワードの変更などを行ってください。